~腎生検と組織診断~

~腎生検と組織診断~


採取した検体を3種類の顕微鏡(光学、蛍光、電顕)にて解析し、病理組織診断を行います。それに基づいて腎炎の治療方針を決め、予後を推測します。

腎生検は、医療の安全を期すため、約1週間の入院を要します。

名古屋市立大学病院の例
入院(午前)、検尿、採血、画像診断等の検査
腎生検、24時間安静(トイレ歩行は可)へ。
安静解除へ(院内歩行可)。
組織診断の説明(電顕除く)
退院

腎生検は、局所麻酔し、エコーガイド下で経皮的に行います。
生検針を背中側より進入させ、約8㎜の長さ、マッチ棒の軸大の
組織(腎臓の皮質で糸球体が多く分布する場所)を採取します。

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~腎生検による糸球体の組織像について~

腎生検による糸球体の組織像について




予後良好群  糸球体に軽度のメサンギウム細胞の増殖と
基質の増加のみを認める。
糸球体の硬化像(-)
半月体の形成(-)
ボーマン嚢とのゆ着(-)

B

予後比較的良好群 糸球体に軽度のメサンギウム細胞の増殖と
基質の増加のみを認める。
糸球体の硬化
半月体の形成
ボーマン嚢とのゆ着
を認める糸球体は、10%未満である。

C

予後比較的不良群  中等度のびまん性のメサンギウム細胞の
増殖と基質の増加。10ー30%の糸球体に硬化、
半月体の形成、ボーマン嚢とのゆ着を認める。

D

予後不良群  高度のびまん性のメサンギウム細胞の増殖と
基質の増加。30%以上の糸球体に硬化、半月体
の形成、ボーマン嚢とのゆ着を認める。

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~腎炎の臨床像と腎生検による組織像から4群に分類されます~ 前頁ABCDについて

A
生活、仕事、運動(ゴルフ、スポーツ等)は普通どおり
食事 : 塩分制限のみ行う(8g/日以下
      蛋白質の制限はしない
禁煙 : 肥満の解消、十分な睡眠と休養 
消炎鎮痛剤や、造影剤の使用には注意が必要

B

生活、食事は上記と同等とする
蛋白尿が極めて少量の場合(0.2g/日以内)

薬剤は必要としない
蛋白尿がやや多い場合0.3g~2g/日以内)
抗血小板剤(コメリアン、ペルサンチン)ACE阻害剤(レニベース、エースコール、ロンゲス、タナトリル) AT拮抗薬(プレラン、ニューロタン、ブロプレス、ディオバン、ミカルディス)の併用、単独
腎生検(組織像):係蹄壁のゆ着が多い場合   
抗凝固療法(ワーファリン、ヘパリン)
腎機能(CCr)≧80ml/分、蛋白尿(1-2g/日以上)で、組織上
硬化病変が軽い場合
上記 + ステロイド療法

C

運動は、健康と体力維持に必要な程度とする
食事 : 食塩(7g/日以内)蛋白質(0.8-0.9g/kg/日)
      熱量(30-35kcal/kg/日)とする
CCr≧70ml/分で尿蛋白1-2g/日以上:ステロイド剤の適応に

D

生活、仕事、学業は、普通とするが過労は避けたい
食事 : 食塩(7g/日以内)蛋白質(0.6-0.8g/kg/日)
      熱量(30-35kcal/kg/日
      カリウム値が高い場合は、高カリウム食品に注意する
高血圧合併例に、ACE阻害剤、AT拮抗薬の適応
但し、クレアチニン値≧2.0の場合は、Ca拮抗薬を使いたい

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~腎炎の臨床像と腎生検による組織像から4群に分類されます~

腎炎の臨床像と腎生検による組織像から4群に分類されます
   (腎生検時の組織所見:臨床像から4群に分類)
      (
組織像のみでは長期予後の正確な予知は困難


A 予後良好群(透析に到る可能性がほとんど無い)
・蛋白尿(十)・血尿(十)  程度(定性)、血圧正常群の場合(持続)
             尿蛋白(<0.3g/日)(持続)

B 予後比較的良好群(透析に到る可能性かなり低い)
・ 蛋白尿(十)~(十十)
・血尿(十)~(十十) 程度(定性)、尿蛋白≪0.5g/日(持続)
血圧も一般には正常(持続)

C 予後比較的不良群(20年以内に透析に移行する可能性あり)
蛋白尿0.8~2.0g/日
・クレアチニン値1.3~1.5mg/dl
・クレアチニンクリアランス(CCr)50-79ml/min/分
・高血圧140-160/90mmHg 以上の持続

D 予後不良群5年以内に透析に移行する可能性がある)

蛋白尿≧2g/日が持続
  ・ クレアチニン値1.6mg/dl以上
  ・ クレアチニンクリアランス.< 50.0ml/日
  ・高血圧160mmH /95以上の持続




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~IgA腎症(例えば)としたら~ 治療戦略

~IgA腎症(例えば)としたら~ 治療戦略

1 生活、仕事、学業、運動も普通で可(但し過激な状況は避けたい)
2 塩分の制限は守りたい(8g/日以内目安)
(蛋白尿<0.2g/日)検尿で経過観察を
3 蛋白尿>0.3g/日 : 抗血小板剤
蛋白尿>0.5g/日
抗血小板剤
(コメリアン(100)3Tab 3×N)(IgA腎症に保適)(ペルサンチンL(150)2cap 2×N)(ステロイド抵抗のネフローゼ)

ACE阻害剤 (レニベース、 エースコール、ロンゲス、タナトリル)

AT1受容体拮抗薬 (プレラン、 ニューロタン、ディオバン、  ブロプレス、ミカルディス)













 腎保護作用  降圧剤
   
 抗凝固薬療法を行う(ワーファリンの服用)       
    

腎機能が正常範囲(CCr>80ml/min)
(クレアチニン 1.3mg/?以下)で
尿蛋白が1-2.0g/日前後の時

上記に加えステロイド療法を施行したい(抗血小板剤の併用)

 治療計画(成人)
プレドニン(5) 6錠/日×8週 その後 減量:2-3錠/日×2~3年間ソルメドロール500-1000μg/日×3日間の点滴(パルス療法):活動性の強い組織病変が存在する場合

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~IgA腎症(腎生検にて診断組織病名)の臨床像~

~IgA腎症(腎生検にて診断組織病名)の臨床像~

日本人に一番多い腎炎です
小児~成人 幅広く発症(発症年齢ピーク 10-20才台)する
70%は、検診などの偶然の機会に蛋白尿/血尿として発見される
10%は、上気道・消化管の感染直後の肉眼的血尿にて発見される
一般的に無症状であるが、一時的に寛解することはあっても
生涯にわたり持続することが多い
高血圧を伴ない、ネフローゼレベル(3.5g/日以上)まで蛋白尿が増加して腎不全に到ることが多い
約1/3~1/2の症例で血清IgAの高値が認められる。(315mg/?以上)腎生検による腎病理組織像(糸球体の観察)が唯一の確定診断。
免疫組織法(蛍光抗体法)でメサンギウム領域主体にIgA沈着を認める。
発症後 10年 : 10%     20年 : 30%が末期腎不全に進行する。
生活、仕事、学業、運動等に注意を要する場合があります。
食事は、食塩の制限(8g/日以内)が最も重要です。
扁桃腺肥大や反復炎症を呈する場合、扁桃摘出術(耳鼻咽喉科)の適応有り。(現在、有効性は検討中)
高血圧症、高脂血症等の合併例や、脱水、上気道炎のくり返しは、腎炎を悪化させます。

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~慢性腎炎症候群(慢性腎臓病)~

~慢性腎炎症候群(慢性腎臓病)~

持続する蛋白尿  を呈し、ゆるやかな経過をたどり腎機能の低下をきたす病態をいいます。
血尿
高血圧症
一次性(進行型)には、
IgA腎症などのメサンギウム増殖性糸球体腎炎、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、巣状糸球体硬化症 etc がある

二次性には、
膠原病、糖尿病、慢性関節リウマチ、血管炎 etc がある 
職場検診、学校検尿、外来受診時(他の病気で)
偶然に発見された蛋白尿、血尿
Chanced proteinuria / hematuria
無症候性蛋白尿、血尿と呼びます。(潜在型腎炎)
腎機能が低下すると慢性腎不全から、血液透析に到る可能性が高くなるだけでなく、心臓血管病(狭心症、心筋梗塞、脳血管疾患など)の危険因子でもあるため、腎機能が明らかに低下する前から早期に対策を練る必要がある。

自覚症状は少なく、多くは進行性である。継続して専門医の診療をお受け下さい。

食事療法、ライフスタイルの改善、血圧のコントロール、脂質異常の改善などが大切です。

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尿酸のコントロール、~糖尿病・透析の血糖コントロールの実際~

<尿酸のコントロールについて>

ポイント

① 一般的に UA≧7.0    高尿酸血症という

② 持続すると痛風発作・尿路結石の誘因に。

③ HD者   尿酸の尿への排泄低下によるもの。   高値となることはやむを得ない!

④ 薬の投与(例 アロシトール=合成阻害剤)     一般的にUA≧9.0(目安)      

(副作用出やすい為(発疹、肝障害)

HD者には薬物投与は積極的ではない!

⑤ 痛風の経験者であれば    UA≧10.0メドで投薬する方針

⑥ 他の薬剤の投与が多いこと    優先順位は少し低いので

UA8~10のレベルでは      他の薬の量による。

少なければ投与へ

~糖尿病・透析の血糖コントロールの実際~

 

ポイント

① すでに透析期に到ってきているから、厳格なBScontrolの時期ではないこと。

② 透析期ということは、既に合併症(神経、眼、動脈硬化)が進行しており、厳格なBScontrolが上記症状改善するという実証は無い。

    腎不全であり、必要とされるインスリン量は減り、見かけ上血糖はよくなることが多い

インスリンOFFも可能

    低血糖は高血糖よりも危険である(眼科も低血糖発作の方を恐がっている!)

(非インスリン)   (インスリン使用)

     随時BS     70200       150250

HbA1c      6.5以下       7.5メド

    透析液ブドウ糖濃度= 100/㎗  に設定。

    インスリンは透析されない!

    透析後にインスリン作用が前面に出る    低血糖起こし易い

    高齢者・自律神経機能障害(+)により、低血糖の自覚 伴いにくい!

    インスリン : HD日は非HD日より少なくする。

    いわゆるDM専門医    HD者のBScontrolは困難!

  <透析患者さんは、全ての疾患で『別世界』であることを前提とすること。>

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院長 

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腎臓の機能障害の原因

~腎臓の機能障害の原因~

腎機能に影響するもの

 Ⓐ 糸球体機能 ・・・ 糸球体腎炎・糸球体硬化(動脈硬化)

Ⓑ 尿細管機能 ・・・   薬剤(抗癌剤、鎮痛剤)

放射線療法

脱水

高尿酸血症

尿路感染症(腎盂炎、膀胱炎のくり返しなど)

Ⓒ 血行、走行異常(腎、動、静脈系)(尿路、膀胱系)

 CTで確認を。(腎、尿路系)

 

 急性進行性腎炎症候群 ・・・・ 腎生検で組織診断を。

 慢性糸球体腎炎症候群(IgA腎症・膜性腎症など)の増悪。

 ネフローゼ症候群(膜性増殖性腎炎など)の増悪 ・・・ 腎生検で組織診断を。

 ループス腎炎(全身性エリテマトーデスの腎病変)の増悪。

 糖尿病性腎症の増悪。

 その他(痛風腎、妊娠中毒腎、腎静脈血栓症、肝腎症候群など)

  

   慢性糸球体腎炎を発症したら、完治させることは非常に困難です。

   適切な治療を続けることによって、腎機能を維持し、腎不全へ移行するのを

   くいとめることは可能です。

 

 普段の生活の注意(過労、喫煙、脱水、上気道炎を避ける)

 食事の注意  減塩食(8g/日以内)

         低蛋白食(80g/日以内)

         高カリウム食品を避ける         で腎臓の負担を

         高脂肪食を避ける(動脈硬化の予防)      を減らします。

 

 薬物療法:   病気の種類や進行度に応じてさまざまな治療を行います。

慢性の腎臓病では治療の中心となります。

 

抗血小板剤(コメリアン、パナルジンなど)

ステロイド剤(プレドニン、メドロールなど)

免疫抑制剤(シクロスポリン、プレディニンなど)

降圧剤(ブロプレス、エースコール、アムロジンなど)

利尿剤(ラシックス、ダイアートなど)

抗高脂血症剤(プラビックス、メバロチンなど)

 

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~副甲状腺機能亢進症を有する患者さんへ~

「副甲状腺機能亢進症」を有する患者さんへ

リンとカルシウムは骨の主成分です。ところが透析患者さんでは、血中の

リンは上昇し、カルシウムは逆に低下します。この状態が長く続くと、骨がもろくなって骨の痛みや骨折を起こし易くなったり、心機能の低下にもつながります。これを腎性骨症といいます。

この腎性骨症の一つとして重要な病気に、副甲状腺機能亢進症があります。リンとカルシウムのバランス異常が長く続くと、副甲状腺の働きが強くなって、副甲状線ホルモン(PTH)が異常に高くなります。この病気に対して、従来より活性型ビタミンD(アルファロール、ワークミン)を服用したり、高リン食品を制限したりしてきましたが、実際はなかなかコントロールが

困難でした。平成12年より、上記に対応して新しい薬剤の適応が日本で認められました。それが「オキサロール」です。この薬剤を、透析ごとに静注することによって、過度の副甲状腺ホルモン(PTH)の働きを弱めていきます。

また、最近になり、新しい薬「レグパラ錠」が登場しました。この薬の適応は、オキサロール(静注)を使用してもなかなか高PTH血症が抑制しにくい場合です。副作用に低カルシウム血症がありますので、注意しながら投与します。

それでも薬剤の限界がありますので、高リン食品の制限は引き続き必要なことはいうまでもありません。

2しもざとクリニック 

                      長  下 郷  

                      

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