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道しるべ~血圧はなぜ高いのでしょうか

 透析を受けておられる患者さんの約80%の方に高血圧症(収縮期140以上/拡張期95以上)を認めます。また、この高血圧のコントロールがあまりうまくいかないと患者さんによっては心不全、狭心症、心筋梗塞、不整脈などの心臓病や、脳出血、脳梗塞などの脳疾患を起こす原因になります。
 本来、体内には抗利尿ホルモンなどの体内水分を調節するホルモンがあり、これが腎臓に働き、水分や塩分の排泄や促進することで体液の恒常性を保っていますが、尿量が減少した透析患者さんの血圧の上昇や低下の原因は体液(水分)の変動(貯留と減少)と塩分の過不足によるものが大部分と考えられます。
 皆さんは、良好な水分管理をしていても、透析と透析の間は4-5%(中には8-10%)の体重増加(水分貯留)があります。この増加した水分が血管内に貯まり、心臓への容量負荷が高まることにより血圧が上昇します。心胸比(CRT)の増大であらわれます。
 次に、エリスロポエチンの影響があります貧血の改善には画期的な革命薬として登場し、ほとんどの方に使われますがヘマトクリットを30以上に保つとすると副反応として血圧を上昇させます。そしてシャントの存在が心臓への血液還流を増大させ血圧を上昇させます。さらに、本来の動脈硬化症に由来して血管の弾力低下による高血圧症があります。高齢者や糖尿病の方に多いタイプです。なかなかコントロールは難しく、種々の降圧剤が必要です。
 では、どうすればうまく血圧を調整できるのでしょうか?
 解決する方法は以上お話しました原因を1つずつ是正すれば良いのです。

①適切な基礎体重(ドライウェイト)の設定(厳しい設定になりますので患者さんの理解が必要になります)。
②透析と透析の間の体重増加(水分貯留)を5%以内とする。

 これが高血圧対策のまさに鍵です。これで高血圧の70%は解決できるはずなのです。基礎体重を適正にしてもなお血圧が高い場合や、体重を適正にすると足がつったり、血圧が下がったり、狭心症を起こしたり、脳虚血を起こしたりする方には基礎体重は少し甘くせざるを得ませんが(高齢者や糖尿病の方に多い)、その分血圧が高くなる方には作用機序の違う種々の降圧剤を使うことになります。
 逆に血圧が低い人は基礎体重がきつかったりしていないか、あるいは心機能に問題はないかを検討しますし、ドプスやリズミック(昇圧剤)の服用や透析中であれば補液、エホチール(昇圧剤)の持続注入や高ナトリウム透析等を行います。

MEMO
 1Kgの体重増加(1Kgの水分を摂取)は食塩でいうと8gを摂取したことになります。したがって、5-6Kgの体重が増えた方はこの間40g程度の塩分を取ったことになります。この食塩過剰摂取を根本的に抑えないと当然口がかわき(のどがかわく)、水分をとってしまって体重が増加する原因となるのです。血圧も当然、高くなります。
 体重増加が多い方はいったいどのくらい塩分を多くとっているかを確認してみてください。ちなみに塩分の一日摂取量は、8g以下が理想です。

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